今回のテーマは、
アルコール依存症の治療に効果抜群な3つの薬と飲み方について。
まず、アルコール依存症は完治を目指すのではなくアルコール依存症から回復することが通例とされております。
糖尿病のような慢性疾患と同様、一生つき合っていく病気ですが、他の慢性疾患同様に治療に有効な薬はあるのでしょうか?
目次
アルコール依存症の治療は薬で治る?
アルコール依存症は薬では治すことは難しいとされておりますが、回復を助ける薬はいくつかあるので、治療の方法にもいくつか選択肢があります。
まずは、
- 内科的治療が必要かどうか
- すぐに精神科的治療ができるかどうか
- 他の精神疾患を併発していないか
上記を見極め、断酒とともにすぐに取りかかるべき優先順位が決められます。
その順位が決まったら、断酒の継続とともに日常生活に戻るために治療が進むのですが、アルコール依存症の治療薬と言われるものが登場するのは退院の準備を始める頃のことになります。
アルコール依存症の治療薬の飲み方
アルコール依存症の治療薬というものにはいくつか種類があって、「抗酒剤」と呼ばれるものと、「飲酒欲求を減らす薬」の2種類に大きく分けられます。
抗酒剤
「抗酒剤」は、その名のとおりお酒を飲むことを予防するお薬です。
効果としては、アセトアルデヒドという二日酔いの原因物質を体に入れておくことで、お酒を飲むと急激に気分が悪くなる症状が含まれており、急性アルコール中毒に似た症状が出るため、「わざわざ具合悪くなるために飲む人間はいないだろう」という考えのもとに使用されているお薬です。
多くの場合、朝の食事時に家族の前で飲むというやり方がとられており、12時間から24時間効果があるとされているので、社会生活を安心して営みやすいと取り入れる人が多いお薬です。
飲酒欲求を減らすお薬
「飲酒欲求を減らすお薬」は、脳に直接働きかけて飲みたいという気持ちを起こさせないというものです。
こちらも1日1回の服用で効果があるとされているので、朝食後に飲むパターンが多いようで、どちらのお薬も、糖尿病でいう「インスリン薬」のようなものです。
2型糖尿病の場合はインスリンや飲み薬がなくなる場合もありますが、糖尿病は完治ではなく、全治とまでは言えませんが、病状が治まって穏やかになるのが特徴なのと同じように、この「抗酒剤」「飲酒欲求を減らすお薬」も同様に、必要に応じて服用を続けたり、終了したり、再開したりすることが必要なお薬です。
アルコール依存症の治療に効果抜群な3つの薬
では、実際にアルコール依存症の治療に効果抜群な3つの薬を紹介します。
「抗酒剤」には以下のお薬があります。
・ノックビン
精神的な副作用は少ないのですが、効果が現れるまでに30分ほどで、効果持続時間の長さが特徴です。
肝機能を一時的に低下させるだけでなく、まれに重い肝障害を起こすことがあるので用法・用量には注意が必要です。
・シアナマイド
抗酒剤といえばコレというほど業界ではメジャーなお薬で、効果が出るまでに3分ほどと短く、効果の持続は12時間から24時間と言われます。
副作用としては発疹があり、アルコール成分に対する反応が強いので、洗口液やお酒が多めなお菓子などでも反応が出る場合があります。
「抗酒剤」の場合、薬効が1日更新と言っても過言ではありませんので、うっかり飲み
忘れると当然ですが効果はありません。
投薬治療を始めて間もない頃、飲み忘れた日に「飲み忘れた」ということに気づいてしま
ったら不安になることは確かです。
とにかくすぐに周りに飲み忘れたことを伝えてサポートしてもらうことをオススメします。
一方、「飲酒欲求を減らすお薬」はまだ数が少なく、今広まってきているお薬はこちらです。
・レグテクト
興奮神経の働きを抑制することで精神のバランスがとれやすくなり、強烈な飲酒欲求がなくなる、という効果があります。
副作用には嘔吐、めまい、かゆみ、眠気などがあげられます。
こちらは日本で2013年から販売され始めた新しいお薬ですので、まだまだこれから広まっていくかもしれません。
また、2017年10月に「ナルメフェン」という飲酒欲求を抑えるお薬が新たに発売されています。
副作用としてはレグテクトとほぼ同じで、こちらも今後アルコール依存症の断酒継続をサポートする治療薬として広く使われていくようになるでしょう。
アルコール依存症の治療に効果抜群な3つの薬と飲み方のまとめ
完治はしないアルコール依存症の治療で、最も重要なのは「断酒の継続」です。
これまでお伝えしてきた抗酒剤、飲酒欲求を抑えるお薬はそのサポートをしてくれますから、上手に使えばぐっと治療が楽になると期待できますし、周りの人もご本人がお薬を飲んでいてくれることに安心することができます。
ただ、アルコール依存症の回復というのは「ただ飲まずにいること」とは言い難いことが現実で、飲まなくても幸せな人生を歩めるということを理解し、それを続けていくためには、家族や友人、同じ病気の仲間のサポートが不可欠です。
病院での診察、お薬、リハビリプログラム、自助グループという治療法が増えた昨今なので、それらを上手に使えば、依存症治療を続けていくことはイバラだらけの道ではなくなったと言えます。