今回のテーマは、
アルコール依存症を治療する費用を3つの角度からまとめたについて。
身近な人がアルコール依存症を疑いたくなるような状態に陥った時に、真っ先に病院や保健師さんに相談したくなるのではないかと思います。
大体は「まず病院を受診させましょう」と言われますが、実際治療費はいくらで、どれくらいの期間病院に通うのか?がとても気がかりだと思います。
では、見ていきましょう!
目次
アルコール依存症の治療の費用はどれくらい?
アルコール依存症は、「性格の問題」「意思の問題」と昔からよく言われており、おそらくそれは治療が必要な病気であることがメジャーになってきている現在でもそう思われがちです。
治療にかかる色々なことをお伝えする前に、これは再びはっきりとお伝えしておきます。
アルコール依存症は精神病であり、治療しないでいても治ることはありません。
また、残念ながらアルコール依存症に完治はありません。
もう二度と上手にお酒を飲めるようになったりもしませんし、再び飲酒したらそれまでいくら健康な昔のように生活ができていたとしても、そこに戻ることはありません。
糖尿病などの慢性疾患と同様に、死ぬまで病院や自助グループとのおつき合いが続きます。
しかし、その間は治療費のお金がかかるというわけではないのも、アルコール依存症の特徴です。
治療の初期から回復期まで、月々の負担はどこでいくらくらいかかるのかを見ていきましょう。
POINTアルコール依存症は精神病であり、治療しないでいても治ることはない。
アルコール依存症を治療する場所はどこ?
身近な人がアルコール依存症かもしれないと思った時、あなたはまず誰に相談するでしょうか?
家族、会社の上司、友達、色々な相手がいると思いますが、そのどれかから大抵「保健センターに電話してみよう」という提案がなされることが多いようです。
たまたま新聞に載っていた依存症の治療施設があるかもしれませんし、同じく新聞の生活欄などで同じような相談があれば新聞社に問い合わせるかもしれません。
まずは、保健センターに電話した場合についてですが、保健センターには保健師さんがいて、無料でアルコール問題の相談にのってくれます。
今の状況と、あなたがどういう態度でいたらいいのか、どういう治療が必要なのか、というところまでは一切お金は不要です。
しかし、この先ご本人を治療につなげようと思うと無料ではいられませんので、先ずは病院に連れていくことが必要になります。
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最初に「精神科に行こう」と言うと激しい抵抗に遭うことも多いので、内科に診てもらってから精神科を紹介してもらうという人も少なくありません。
アルコール依存症は体もボロボロにしますので、内科で休養してから本格的に治療を始めることもありますので、治療する場所の選択肢のひとつは「内科の病院」ということになります。
次に、本格的なアルコール依存症の治療を始める場合、「精神科病院」が選択肢に加わります。
ここでは、内科を通過していない場合は内科的治療を優先にし、もちろん断酒することになりますし、体が快復してきたら精神科的治療が開始されます。
ですから、自然と入院期間は長めになります。1ヶ月から3ヶ月が最初の入院では多いようです。
いざ入院治療が終わった場合に、さらなる治療をどこで行うかが大きな決断どころとなるでしょう。
自宅で回復を図る人ももちろん多くいますし、その場合「AA」や「断酒会」といった当事者の人々が集う場所に通うことが不可欠です。
これは概ね夜に開かれているものなので、復職する人ももちろんいます。
しかし、それを選択するには病気の程度が重い場合は、「依存症のリハビリ施設」が選択肢としてあがってきます。
病院によってはこちらを早い段階で勧めてくれる場合もありますが、こちらは入所するタイプと通所するタイプがあり、ご家族がご本人と一緒に住むことができるかどうかという点が考慮されます。
「心配だから見ていたいけど、一緒にいるには不安が大きすぎる」ということも少なくないからです。
このように、依存症の治療を行なう場所はいくつか選択肢があります。
どれを選ぶのかで負担する金額は大きく変わってきますので、次にそれぞれどれくらいの負担になるかを見ていきましょう。
アルコール依存症を治療する費用を3つの角度からまとめた
これまで、依存症の治療の場所には
- 病院
- 自宅
- リハビリ施設
という3つの選択肢があることをお伝えしてきましたが、ここでは実際にどれくらいのお金がかかるのかについてお伝えします。
病院の場合
内科病院に入院して治療する場合は、一般的な入院となりますので、医療費の自己負担の限度額までが1ヶ月の治療費となります。
「限度額認定証」というものの手続きをした場合の窓口負担は9万円弱です。(一般的な世帯収入の場合)
*「限度額認定証」は生命保険に加入していればその給付金を請求することができます。
また、「自立支援医療」という制度により、精神科で入院や通院による治療が必要であると証明されると、手続きを行えば本来3割の自己負担額が1割になります。
こちらはご本人の収入額によって負担の上限が変わりますが、一般的な収入であれば内科同様9万円弱の自己負担、市町村税を課税されていなければ2500円の自己負担ですみます。
*「自立支援医療」も生命保険の給付金を請求できます。
「自立支援医療」は通院の場合でも利用できる制度ですので、ほとんど毎日病院に通わなくてはならなくなった場合でも1割負担ですみ、1ヶ月の上限金額まで来たら自己負担はなくなりますので、安心して治療できます。
自宅の場合
この場合は、まずは病院を受診することが不可欠という条件付きですが、先にお伝えしました「自立支援医療」を使うための診断書や通院費が最初にかかります。
診断書や最初の診察でかかる金額は概ね3万円から5万円ですので、医療費の限度額までを覚悟していればすむことになります。
*自立支援医療は、制度の申請をした日から使える制度なので、この最初の受診に関するお金は戻ってこないと思っていた方がよいです。
入院しなければ入院給付金も入りませんし、仕事も欠勤となりますので、それまでどれくらい欠勤していたかなどによって生活の逼迫感は変わります。
できることなら休職して、「傷病手当」を受けながらリハビリ施設か病院のデイケアなどに通うことが病院からもオススメされますが、そうもできないという人はせめて夜の自助グループに通うようにしましょう。
その場合は、別途交通費がかかります。
ちなみに、見守る方としては「帰宅するまでに飲んでしまうのでは?」と不安になることと思います。
会社員であればおつき合いなどもありますが、それは全て断ってもらうようにしたり、会社の同僚に誘わないように頼む必要も出てきます。
ご本人がお酒に使えるお金を持っていないことが大事なので、ご家族や恋人がその管理を請け負わなくてはならないこともあります。
復職してくれた場合、お金の点では負担は小さいけれど、精神的負担は一番大きい選択肢だと言えます。
リハビリ施設の場合
アルコール依存症のリハビリ施設である、MACという施設が全国に点在しています。
MACでは、共同生活をする中で自分を見つめ直し、お酒や薬を使わない生き方を身につけてゆくためのプログラムが用意されており、その他にも当事者ではない医療者が運営する施設もいくつかありますので、ご本人に合った施設を見つけることができると思います。
こちらは、入所タイプと通所タイプで大きく負担額が異なります。
入所する場合家賃や光熱費などの経費、自助グループに通うための交通費などを含めた概ね11万円程度がかかり、生命保険なども使えません。
通所の場合施設を利用する場合には「障害福祉サービス受給者証」というものの申請が必要となり、利用料は、収入額によって変動するので、利用を検討する時には病院や施設の職員に相談しましょう。(上限は、1ヶ月2万円)
通所を選んだ場合、一時的に生活保護を受給される場合もあり、生活保護を受給していると、経費以外の利用料はかかりませんので、短期でがっちり治療して、自分たちらしい人生を送るためにお仕事を再び探す人にオススメです。
アルコール依存症を治療する費用を3つの角度からまとめたのまとめ
これまで、治療の3つの選択肢とそれにかかるお金についてお話してきました。
- 限度額認定
- 自立支援医療
- 障害福祉サービス受給者証
といった大変心強い制度を利用できる上に、役所の窓口や病院などで相談すれば誰でも行うことができます。
アルコール依存症とお金は切っても切り離せない問題ですが、既にお酒に沢山のお金をつぎ込んでいるはずですから、身近な人が治療を受けるとなったら心配になることでしょう。
しかし、この病気を克服したい、克服して欲しいと思う人には必ず様々な手助けがありますので、様々な制度、自己負担限度額など、煩雑なことはその手助けしてくれる人に相談することにして、恐れずに治療に踏み出してゆきましょう。