病院で治療を受けるべきアルコール依存症の症状の度合い




今回のテーマは、

病院で治療を受けるべきアルコール依存症の症状の度合いについて。

アルコール依存症の状態には、いくつかの段階があります。

  • 自宅で治療することが可能な段階
  • 長期入院を必要とする段階
  • 入院生活を終えて地域生活でのリハビリをするべき段階

それぞれ、どのような違いがあり、直ぐに病院を受診するべき状態はどのような状態なのかを見ていきましょう!

自宅で治療可能なアルコール依存症の症状の度合い

吐き気・頭痛などのつらい二日酔い

アルコール依存症は、多くが習慣性の過剰な飲酒が原因で起こる身体的・精神的依存による病気です。

治療のプロセスの中には、病院を受診することが不可欠となりますが、長期の入院をすることができない人や、家庭や仕事の事情、ご自身のプライドの問題などでどうしても自宅で治療をしたいという人を強制的に長期入院させることは基本的にはできません。

過去に禁断症状と言われた離脱症状が軽い人の場合や、連続飲酒でどうにもならない状態が何年も続いている訳では無いという人の場合は、4日程度の入院で自宅に帰ることも可能です。

初期の段階で自宅での治療が可能な人は以下の状態の人とも言えます。

POINT

  • 振戦、せん妄などの離脱症状が比較的軽いこと
  • 断酒への動機付けがしっかりできていること
  • 1週間に1度の通院を行えること
  • 病院から組まれたスケジュールやルールを守ることが出来る人
  • 抗酒剤を飲むことを確認できる家族がいること

身体的依存が比較的軽い場合は、自助グループに通ったり、カウンセリングを受けることで飲酒の手立てを講じていけるかどうかが治療のカギとなります。

病院で治療を受けた方が良いアルコール依存症の症状の度合い

吐きたいけど吐けれない時

「アルコールを体内に入れていないと正気で居られない」、という状態を連続飲酒と言いますが、この状態を長く続けており、「もうお酒はやめる」と約束して少しの間は断酒できるものの、1ヶ月ほどでまた再飲酒してしまう、そして連続飲酒に陥ってしまうという状態であれば、病院の受診を引き伸ばすことはそれだけ命のリスクを高めることになります。

会社を休みがちになったり、約束を守れなくなったりして、本人自体が「お酒はもう飲みたくない」と思っているのにやめることができない状態に陥っている場合は、長期の入院が必要です。

POINT

  • 離脱症状が顕著であること
  • 連続飲酒が止まらなくなっていること
  • 少しの間断酒は可能だが、離脱症状に苦しむこと
  • 少しの間断酒は可能だが、繰り返し飲酒する期間がやってきてしまい、連続飲酒となること
  • ご本人の失敗を、家族や周りが肩代わりする機会が日常化していること
  • 隠れ酒をするようになっていること
  • 「お酒をやめる」ということが家族や周りの人と話題になることが日常化していること
  • 身体的な不具合(肝臓の数値が異常値であるなど)が出始めていること

以上の状態が1つでも当てはまる場合は、早期の受診+長期の入院で治療を開始することが必要です。

即病院で治療を受けるべきアルコール依存症の症状の度合い

お酒で吐く原因はコレだった

アルコール依存症の人たちが病院に行くタイミングの多くは、

「家族も周りの人も、お酒に溺れているあなたを見ていることに限界だ!」

で占めているのが現状です。

当の本人にはシラフの状態が皆無なので、本人が「私はアルコール依存症なので、入院させて下さい。」と言うことはありませんし、本人が「このままでは、だめだ」と思っていても、それを口にすることも無いです。

身体的にも精神的にも依存状態が作られていて、もはやお酒なしでは生きていけないという状態が続いている場合には、命のリスクが高すぎるため、一刻も早い受診が必要となります。

この状態の場合、前にあげた特徴の他に、次のような特徴があげられます。

POINT

  • 酩酊でものや人を傷つける状態であること(自傷他害の恐れがある状態であること)
  • 連続飲酒で生活が破綻していること
  • 身体的にも不具合が出ているにも関わらず、お酒をやめることができないこと
  • 吐血したり、酩酊のせいで普通に道を歩くことができないこと
  • 家族と会話をかわせなくなっていること
  • 家族や周りの人が「もう一緒に過ごすことはつらい」と思っていることの原因がお酒であること

先ずは「生活が破綻しているかどうか」が客観的に認められたり、周りの人が「お酒やめさせないと死んでしまう」と思うかどうか、が一番のポイントです。

病院で治療を受けるべきアルコール依存症の症状の度合いのまとめ

病院で治療を受けるべきアルコール依存症の症状の度合い

これまで、軽度で病院とのつき合いが比較的短くて済みそうな場合や、重度で長期の入院が必要な場合について解説してきましたが、軽度重度関わらず病院に行かずにアルコール依存症とつき合っていくことは至難の技です。

加えて、ご本人は酩酊状態にあることが日常ですので、治療のきっかけを作るのは多くがご家族や友人となり、大事な人が「一緒にいるのがつらい」と思うこと、それが治療に繋げる決め手になります。

「飲まなければ良い人なのに」とは昔からアルコール依存症の人を表現する時に使われる言葉ですが、その良い人はアルコールによって次第に居場所が無くなってしまいます。

自宅で治療が可能か、長期入院が必要か、それは可能か不可能か。

様々な迷いや選択肢があるでしょうが、まずは「困っている人」が病院や保健センターなどに相談に行くこと、それが治療の第一歩となります。

あなたやあなたの大事な人の「良いところ」が消されるその前に、病院に相談しましょう!